ドパミンの調整について

 成分名アリピプラゾール、つまり「エビリファイ」という内服薬は、ドパミン・システムスタビライザー(DSS:Dopamine System Stabilizer)とも呼ばれていて、前頭葉(とくに前頭前野)のドパミン系神経に調整的に働きます。アリピプラゾールは、ドパミンD2・D3受容体にたいする部分作動薬(つまりパーシャルアゴニスト)と呼ばれます。これは、阻害薬(アンタゴニスト)としてドパミン阻害作用を示す一方で、作動薬(アゴニスト)としての活性作用をあわせ持ちます。そして用量が少ないと作動薬(アゴニスト)として働き、用量が多いと阻害薬(アンタゴニスト)として働くという性質を持ちます。このことから少量(1.5mg~6mg)でうつ病の意欲・活動の低下傾向を緩和させます。そして日常生活・社会生活の向上につながります。内服量が少なくて、安全性が高いので、うつ病の治療の選択肢の一つになります。

 ちなみに、アリピプラゾールは、セロトニンに対しても、調整的に作用します(セロトニン5-HT1A受容体パーシャルアゴニスト、セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト)。前頭葉とくに前頭前野でセロトニンの機能が向上させる作用があります。