現在では、SSRIとSNRIが主要な抗うつ薬です。
☆SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
選択的=Selective
セロトニンとは神経伝達物質の一種です。内服薬の中にはセロトニンは含まれていませんが、脳内のセロトニンだけを選択的に、少しずつ増やす作用があります。これによって気分の沈み、不安、緊張などを改善します。
セロトニンを増やすメカニズムは、セロトニンを再吸収・分解するのを阻害することによります。
☆SNRI セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
S=セロトニン N=ノルアドレナリン
セロトニン・ノルアドレナリンは神経伝達物質の一つです。内服薬の中にはセロトニン、ノルアドレナリンは含まれていませんが、脳内のセロトニンとノルアドレナリンを少しずつ増やす作用があります。これによって気分の沈み、意欲低下などを改善します。
セロトニン・ノルアドレナリンを増やすメカニズムは、セロトニン・ノルアドレナリンを再吸収・分解するのを阻害することによります。
・その他、NaSSAというタイプの抗うつ薬もあります。これは セロトニンとノルアドレナリンの放出を促すものです。
総じて安全性は高いです。
内服当初の1,2日は軽い吐き気や食欲低下をきたすことが多いです。内服初期だけの症状ですので、がんばって継続して内服していただいてかまいません。最近のSSRIは、吐き気はしても、嘔吐してしまったりということはほぼありません。
しかし、吐き気がつらいという場合には、中止してもかまいません。ただ、一般に病院でよく処方される普通の吐き気止めは効果的ですので、ご心配の方は、SSRIと一緒に吐き気止めを内服するとよいです。
もともと吐き気がある人は、普通の人以上にSSRIで吐き気が生じやすいかというと、そんなことはとくにはないようです。もともとの吐き気のメカニズムと、SSRIによる吐き気のメカニズムは違うからでしょう。もともと吐き気がある人には、念のため、吐き気止めも内服されるほうがよりよいでしょう。
吐き気止めは、SSRIに慣れてきたら必要なくなります。
以上のことは、SNRIでも同様です。