北山修先生の講演を聴きました。北山先生は日本の精神分析系の精神科医としては最も有名な人のひとりです。若いときには「ザ・フォーク・クルセダーズ」のメンバーで。『戦争を知らない子供たち』『あの素晴しい愛をもう一度』などを作詞しました。今回は、精神分析的観点から精神科医の聴衆に向けての講演です。いままで北山先生のお話は20回以上聴いたことがあります。前にお話しした藤山直樹先生ともよくコラボをしています。話しの合間にユーモアを交えて、聴衆を笑わせながらです。笑いの面でも藤山先生とも相性が良いようです。
今回は「劇」(あるいは劇場の舞台で繰り広げられる劇)という観点からです。北山先生の論じる主要なテーマの一つです。これは医学用語ではありません。クライエントの対人関係上をめぐる認識、着想、行動には、繰り返されるパターンが見いだされる場合があります。特にここでの「劇」とは、父親や母親など特別な他者とともに形成した台本・筋書きが、成人して以降も、相手を変えながら反復してしまうという場合についてです。これを本人が知らぬ間に反復していても、本人ばかりか、他人や治療者側も気がつきにくいのです。
しかしそれについて気がつくことができれば大きな発見です。自分自身と対人関係をより客観的に見直すことができます。