堤明純先生講演会 「メンタルヘルス・リスクアセスメント」

先日、堤明純先生の講演会「メンタルヘルス・リスクアセスメント」を聴きました。堤先生は北里大学医学部公衆衛生学教授です。

 就労者が、良い環境でご自身の能力を発揮できることは不可欠なことだと私は思います。完全にではなくても、その方向で試みや努力が必要です。私は日々の診療で、ストレスフルな環境のなかで、能力が十分に発揮できなくなる方々のお話を聞くことが少なくありません。リスク要因は、発病させ、回復を遅らせ、再発を増やします。私はこういったお話を来る日も来る日も聞くにつけ、残念です。精神疾患は一定の割合で必ず起きるものですが、しかし、高頻度でうつ状態が発生する職場があります。

 堤明純先生らは、最近、厚労省助成研究から「職場ストレスのリスクアセスメントツール」を作成されました。このツールはアンケート形式の簡便なテストであり、職場環境において、どの要素がどの程度でストレスフルであり、うつ状態を引き起こすリスクがどれくらいかを点数化します。それに基づいて、どのリスクを先に改善するべきか、優先順位を提案します。

このツールを堤先生たちが作成するにあたっての基本的な考え方についてお話をうかがいました。つまり就労者と企業の両方に資するようにというのが基本姿勢です。とても使えそうなツールで、期待されます。今後次第に企業に普及することを目指しているようです。

就労者の職場環境の改善に向けて、先生の真摯な取り組みの姿勢がうかがわれました。こういう取り組みが今後是非に必要とされています。強く期待します。