日本うつ病学会に参加してみて

 日本うつ病学会に参加しました。

 うつ病を巡って、テーマは多彩でした。比較的マイナーなテーマですと、栄養(とくに印象的なのはDHA,EAPつまり魚の油の効果です)、光療法(季節性うつ病に効果的)、TMS(磁気療法)などがありました。

 大きなテーマですと、鬱病と躁鬱病の関連性についてどう考えるか、うつ病の社会的損失、休職から復職に向けてのサポートプログラム、認知機能(つまり頭の働き)の改善の程度などです。

 今回の学会テーマとして掲げられている「個人と社会の相互作用としてのうつ病」については、あまり扱われていないようでした。大雑把に言ってしまえば、内容豊富であっても、うつ病について論じられているいつもの議論をここでも反芻しつつやっているというふうでした。

 また、いつものように外国で実施された統計データをいろいろとと目まぐるしく出してきて、それらを比較しながら、解釈してそこにどのような知見を見いだせるのか、というやり方に傾きすぎる傾向があります。もちろん時にははっきりした知見を見出すこともできますが、大部分は曖昧なままであって、よくわからないということになりがちであり、その点、統計に基づく話が多すぎると、結果としては内容が貧弱になるようにも思われなくもありません。でもそういう手法をとった作業も必要なのでしょう。