この種の統計調査は海外ではよく行われているようですが、わが国ではあまりありません。
2005年のわが国で初めて成人におけるうつ病の総費用つまりその経済的な損失について統計的に研究され、その結果およそ年間2兆円として推定されました。現在でもこの数字で語られたりします。
この総費用は心血管疾患にも匹敵する数字だとされています。海外での調査と同様にわが国でも意外に多いという結果です。わが国の社会全体や企業や家庭においても大きな損失が出ているということのようです。
内訳は、次のようです。
・1800億(9%):外来や入院などでうつ病の治療のためにかかった医療費。直接費用とも呼びます。
・9200億(47%):うつ病による生産性の低下(出勤しているがパフォーマンスが低下している)、欠勤、休職、による損失。これを間接費用とも呼びます。
・8800億(45%):自殺による損失。死亡費用とも呼びます。
どの国でも同じですが、うつ病の治療にかかる医療費は、総費用からすれば僅かです。それ以外での影響が大きいようです。日本の法人税収が12兆円台であることを考えますと、「2兆円」がいかに大きい数字であるかわかります。うつ病の対策を今後さらに充実させることが望まれます。