DSM診断基準が4から5へのバージョンアップ

 ADHD, ADDの診断は包括的に検討して診断するのですが、この診断に関してはアメリカ精神医学会が出している診断基準DSMが重要です。この診断基準に合致しているか否かを診断の目安にすることが国際的なスタンダードとなっています。もちろんこれが絶対ではありません。しかしADHDという考え方はアメリカで発展したものですから、アメリカの診断基準に準拠するのがよいでしょう。この診断基準DSMが4から5へとバージョンアップされました。ADHD,ADDに関しては基本的な考え方には変更はありません。しかし追加、変更されているところがあります。追加されているのは、具体的な症状の例がいろいろと列挙されているところです。そして特に成人にもこの診断基準が使いやすいように、成人の例が列挙されるようになったところが、かなり大きな変化です。

 第4版では、おもに小児を対象とした診断基準であったのですが、第5版は、成人のADHDにもこの診断基準が使いやすいように配慮しています。

 実際、成人のADHDの診断は重要ですから、これまで、DSMではこれにあまり視野に入れていなかったのが片手落ちでした。

 

 DSM4 では7歳未満で症状が認められ、診断項目のうち6項目以上合致が要件でしたが、DSM5では、12歳未満で症状が認められ、診断項目のうち5項目以上合致が要件になっています。またDSM5では自閉症スペクトラム障害の併存が認められるようになっています。