よくある質問


Q.うつ病とうつ状態は違うのですか?
A.うつ状態とうつ病は同じものであったり、異なっていたりします。うつ状態は「状態」であり、うつ病は病名です。でも、医学でいう「うつ状態」は単なる落ち込みやへこみではなくて病的な落ち込みです。また、うつ状態はうつ病以外の病気でも伴うことがあります。総じて、うつ状態の大部分がうつ病あるいはそれに近いグレーゾーンということになります。


Q.うつ病とはどのような病気ですか?

A. うつ病は数週間あるいは1ヶ月以上、気分の落ち込み(特に午前中)、何も面白くなくて楽しめない、おっくうでやる気が出ない、集中できない、仕事の能率が下がる、自分はダメな人間だ申し訳ないなどの自己否定的な思いが毎日持続します。また、不眠傾向や食欲低下、体重減少、頭痛、肩こり、胃腸の不具合、動悸などのからだの症状もあります。
 かなり無理な内容の仕事をしているとか、仕事を抱え込みすぎているとか、こなせないほどの過大な量、上司・同僚とのコミュニケーションの不良による仕事の不具合の発生などがきっかけになることがあります。また、大きな仕事の山場を超えてから不調をきたす場合もあります。
 頑張りの不足、努力不足、根性の無さによってそうなったのではありません。
 無理をしないようにしてゆったりとケアをすることで回復を目指しましょう。


Q.家族が私の病気のことを理解してくれません。

A. これもときどき聞く話です。ご家族もご来院頂き、話し合っておくことは、サポートになります。もちろん、本人の了解なしに家族とお話しすることは出来ません。
 まずは、ご本人とご家族のどちらかに味方をするのではなく、中立的な立場からうかがうことからはじめたいと思います。また、誰が問題なのかという原因探しより、対立がありながらも皆が足並みをそろえてゆくことが大切かと思われます。
Q.できればお薬に頼りたくありません。薬ではなくカウンセリングによって治したいと思います。
A. もちろんその通りかと思います。
 ただ、こころのお薬は特別なものではありません、糖尿病や高血圧など内科のお薬と同じようなものと考えていいと思います。
 それに、往々にして、この症状さえなければ大丈夫なのにとか、この症状があるからだめなのだとか、かえって気持ちのなかで悪循環に陥ることがあります。「治る」ことの意味を時には捉えなおして見ましょう。「治す」ことだけでなく、症状と付き合い、薬と付き合うことも大切なこともあります。一朝一夕ではいきませんが、そういう風に考えられるようになると意外にも、逆に症状が軽くなったり、薬が減ったりすることもあります。
 もちろん、治療の望みの可能性を捨てるということではありません。ただ、悪循環のままにとどまらないようにしてほしいのです。
 カウンセリングのご希望があるばあいには、まずは、必要なお薬があれば内服を続けながら受けるようお勧めします。そのうちにお薬が必要なくなることも考えられます。あまり気負いすぎてカウンセリングで治療しようとしすぎない方がいいでしょう。
 当院では精神分析を行いますが、他の心理療法のやり方の専門家にも紹介することが出来ますので、合うやり方を選ぶことが出来ます。

Q: 内服薬には依存性がありますか?

 注意障害の専用の内服薬コンサータに依存性がありうるとされています。この薬は休薬日を設けるとよいでしょう。それ以外に少し依存性があるものに抗不安薬もあります。依存性は強くはなくて、通常は必要なくなれば、自然にやめれます。アルコールやタバコの依存性よりは遥かに小さな依存性で、問題となることはほとんどありません。ただし、毎日最大量を何年も飲み続けていると、中止するときには1ヶ月はかかります。この場合でも必要性がなくなれば、時間をかけて自然と中止できます。どんな内服薬でも、必要性がなければ中止しなければなりませんが、当院でお出しする薬も必要性がなければ中止の方向に向かいます。

 

Q.お薬はどれくらいの期間のまないといけないのでしょうか。
A. 症状がよくなったときから数えて少なくとも数ヶ月は内服したほうがいいです。パニック障害などの不安障害の場合は、少なくとも6ヶ月、軽いうつ病の場合でも少なくとも3ヶ月とかとお伝えすることが多いです。ただ、これらはあくまで目安なので、経過を見ながら検討していくことになります。お薬で改善している場合には、焦ってやめないようにしましょう。症状を繰り返す場合には再発予防の観点から長く内服すべきです。
 適切な処方を目指しますので、医師と相談してください。


Q.自分の家族の状態が悪くて本人には内緒で相談したいのですが、構わないのでしょうか。

A. まだ、ご本人様が来院されていない段階では、ご本人がいらっしゃらなくてもご相談に乗ります。なぜならご本人は当院に受診しておらず、当方はご本人の個人情報を何も持っていないからです。
 ケースバイケースですが、出来るだけご本人様には、相談に行ってくるということは伝えておいた方がいいでしょう。
 料金の発生については、今の保険制度では難しい欠点があるため、その都度お問い合わせ下さい。


Q.セカンドオピニオンには乗って頂けますか。

A. セカンドオピニオンについてもこれまで時々受けてきましたが、臨機応変にお受け致します。


Q.休職中ですが、症状が治ったらすぐに復職したいのですが。それが難しい理由を説明してください。

A. 症状が治っても、十分に意欲が出なかったりしがちです。もう一歩お薬を増やすとそれが改善したりもしますが、一般に十分に期間をとってからの復職が望ましいです。ほとんどの方が状態がよくなったり悪くなったりしながら段々に回復へと向かいますから、早すぎる復職をしてから調子の悪い波がやってきて、それをきっかけに再発させることは避けましょう。
 最近、職場ではうつにたいする理解が進んできていて、復職時期について適正な時期を見極めようとする努力がなされています。また、EAPといって職場のメンタルヘルスを専門とする会社と提携して向上を目指す企業も増えてきました。本人、上司、産業医、EAP、主治医が足並みをそろえることが大切です。


Q.復職したら、周囲もいっぱい仕事をしているし、上司も治ったから復職したのだろうと言います。仕事が少ないと会社から必要とされていないかもしれない気がして、いたたまれません。それならば、いてもいなくても一緒だから休んだりしがちです。

A. 復職してからは、仕事の負荷の軽減、残業の禁止などの措置から始まることが一般的です。復職当初は、皆さん口をそろえて、「たいして仕事もしていないのに疲れやすい」と訴えます。ですからあまり気にしすぎることはありません。焦って仕事を急に増やさず、1ヶ月ごとに見直して段階的に増やし慣らすことが必要です。疲れやすさも徐々に改善してきます。段階的にやれば登れるはずだのに、急に仕事を増やすとそれが壁となって登れなくなることがあります。段階的にやっている場合には、調子が悪ければひとまず一段階後ろに下がりまたステップアップするという調整も割と容易です。上司の理解も得ながら、十分な期間をかけて元に戻した方がいいでしょう。上司がご本人とともにご来院して頂くことはとても有効なことです。
 時には有休を取って調整するのもいいです。しかし、基本は決められた時間に会社に行くことです。復職当初は会社に居さえすればそれでいいのです。それが最初の目標です。書類を見て仕事をしているかのように装っているだけでもいいのです。職場に行っていれば仕事は徐々に与えられて増えていきます。そうすれば、会社から必要とされていない感じやいたたまれない感じは自然と消えます。
 また、判断をしなければいけないような仕事内容から始めるのでなく、ルーチーンワークから始めるのがいいです。
 復職をするにあたっては、以上のような基本的なことをきちんとしておき、万全を期することが肝要です。


Q.安定剤の内服で、将来子どもを産むのに支障を来すでしょうか。

A.内服薬をやめた後でも卵巣など体内に蓄積して、将来子どもを作るのに支障を来したり不利になったりすることはありません。ただ、妊娠初期には胎児の細胞分裂が活発ですので、薬の一部には内服は必ず避けるべきであったり、避けた方がよい場合があったりします。ご相談ください。また、虎の門病院や国立育成病院には「妊娠と薬」という専門の科目があって、相談に乗ってくれますので、ご心配の方は、そちらもご紹介しています。